03待たせたな、ホタルイカ!
夜の海がこんなに真っ暗なものだと思ってもいませんでした。
富山には3月中旬〜5月上旬の間に「ホタルイカの身投げ」という現象があるそうで、この真っ暗な浜に無数のホタルイカが青い光を輝かせながら打ち上げられるという現象が、その期間のうち3日ほどだけ見られるといいます。
その噂を聞いたときから、死ぬまでに一度は見てみたいと思い、今回その夢を本物にしようと富山に向かったのでありました。
この「ホタルイカの身投げ」という現象は、ホタルイカが産卵のために浮上してきたとき、方角を見失って起こると言われ、そのためには条件があるとされています。
●新月であること
●大雨が前日に降っていないこと
●南風が吹いていること
●0時〜26時の間
などなど。しかし、どれも科学的根拠はなく、あくまでも見ることのできる「確率が高い日」の条件です。
今回、我々の旅は2泊3日。つまり、夜しか見ることのできないこの現象に直面できるチャンスは2回!! そして、満を持して初日に向かった浜の様子が先ほどの写真です。
切ないですね(笑)。ホタルイカはおろか、人ひとり見当たらない。富山湾の八重津浜から水橋親水堤防までの約10kmの間を探索したけれど、この日はどこもこんな感じで、正直がっかりでした。いや、ホタルイカをナメてしまっていたのかもしれません!「なんだかんだ見られるだろう」とか、変な奇跡を想像してしまっていました。当然こんな風景ですから、「あれ! ホタルイカかも!」なんてちょっとした気配すら感じられることはありませんでした。
しかし、ホタルイカが光っているところは見たいと思っていたので、その足で「ホタルイカ漁」へと同行をさせてもらいました!
ホタルイカ漁の船に乗ってまず驚いたのは、船の上で火を焚いていたことです。暗い海の上を炎で照らされながら進んでいく船の姿だけでもかっこいい! 今までも他の取材で漁船に乗せていただく機会がありましたが、こんな光景を見るのははじめてでした。
出港してから30分ほどした漁場に到着すると、大勢の漁師たちが一斉に網をたぐりよせます。その網に引っかかり刺激を受けたホタルイカが発光するのです。
その青い光の美しさは見事でした。これぞ一見の価値あり!
逆にあまりにも美しすぎてLED電球に見えないこともないのだけれど、非日常な光景に興奮が止まりません!(笑)
我々は漁船に乗船しましたが、4月1日からは滑川漁港から観光船がでていて、実際に漁の様子を見ることができます。漁師さんが作業灯を消して光っているところを見せてくれたり、しっかりとサービスをしてくれるので、安心して見ることができます。ただ、販売後すぐに売り切れてしまうプレミアチケットですので、要チェックです! さらに、出港は朝の3時。朝早いというか、夜遅いというか、どっちとも言えない絶妙に中途半端な時間帯なので、気合を入れなければなりません!
さぁ、「ホタルイカの身投げ」はこの感動のさらに上をいく光景といいます。我々は気合を入れ直し、2日目の夜へと最後の奇跡を信じて出陣したのでした!
八重津浜に到着すると、そこには予想外の珍百景が待っていました。
浜にはホタルイカ!ではなく、ヘッドライト!をつけた人たちが網を片手に、ホタルイカを探しに集まっていたのです。
時間とともに、帰って行く人、集まってくる人、たくさんの人が行き交いし、地元の人はもちろん、なかには隣の石川県や新潟県から訪れる人たちも。
そのなかにいらっしゃったスペシャリスト的な出立ちのベテラン男性にお話しを聞くと、今はホタルイカの姿が見えなくても、1時間後に突然現れることもあれば、27時ごろに現れることもあるそうで、もはやギャンブル的な要素があるそうです。基本的には身投げされたホタルイカは砂を食べてしまっていて、食用にするのは難しいそうですが、それでも集まった人たちは網とクーラーボックスを持参し、本気でホタルイカを捕獲しようと試みていました。
「せっかく来たんだから!」という思いを胸に、粘ること2時間。
やはり「ホタルイカの身投げ」を見ることはできず、無念ではありましたが、これだけの人が同じ気持ちで集まっていたことと、「ヘッドライト族の身投げ(絶景)」を見られただけで、残念を上回るうれしさを感じることができました。
最後に、せっかくなので、もういちどだけホタルイカの光を拝見したく、ほたるいかミュージアムまで行ってきました。ここでは、ホタルイカの生体を知ることができ、さらにホタルイカを触ってみたり、発光ショーを見ることができます。
身投げを見ることは叶わなかったけれど、ホタルイカを十分に楽しむことができた最高の冒険でした!
ありがとう、ホタルイカ!!!
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