02世界が認める銘酒「羽根屋」
富山県は「米」のイメージってあまりないですよね。しかし、じつはおいしいお米がたくさんあります。さらに富山県には「水」があります。立山連峰の山々から湧き出る水をはじめ、名水百選の指定を受ける「名水の宝庫」。だから富山は日本酒が盛んなのです。もちろんその米と水を使えばば必ずおいしい日本酒がつくれるというほど日本酒づくりは単純なものでもありません。
富山市内に「富美菊」さんという小さな酒蔵があります。この酒蔵でつくられる「羽根屋」という日本酒は、フランスの日本酒品評会「Kura Master 2018」でプラチナ賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けているすごいお酒なんです。
この味を表現するのはとても難しい。それを表現するのがお前の仕事だろー!と言われてしまうと、ぐうの音もでないのですが、「羽根屋」は甘口か辛口かスパッと言えない、不思議な味わいが魅力です。
口の中に入れた瞬間、フルーティーなやさしい香りと甘さが口いっぱいに広がります。「おっ、甘口か!」そう思った瞬間、スパッとキレ良くその甘さが口から消え去り、辛口の後味へと変化します。なかなかの数の日本酒を今まで嗜んできましたが、この味と感覚が初体験すぎてうまく伝えることができないのです。正直、感動しました。もうひと口、もうひと口と、次のひと口が楽しみになる味と言いますか、飲み飽きることのない素晴らしさがあります。
どうしてこんな日本酒がつくれるのか。
その理由は、酒米を水につける「吸水作業」にありました。
酒米をザルに小分けにし、水につけて吸水させます。この吸水時間が重要で、秒単位で計算し時間がくると素早く酒米を水から上げます。何人もの職人が時計を確認し合い集中するその様子が、この工程の重要性を物語っていました。秒単位ですよ。秒・単・位!
本来、この工程は大きなタンクでやっつけてしまえるのですが、この工程にこそ手間をかけることで、すべて大吟醸と同じクオリティの味を実現しています。しかし、ご想像通り効率が悪く、製造量を確保できないため、一般的に冬にしか製造しない日本酒を夏にも作るという困難な道に挑戦し、見事に成し遂げられました。
素敵な笑顔で対応してくださった社長の羽根敬喜さん(左)と奥様の千鶴子さん(右)。
そんな努力を積み重ねながらも、最後に味を決めるのは人だといいます。
「地域によって酒の味の傾向というのはありますが、酒造りは技術として下の世代に伝えていくことはできるんですけど、それはある一定のところまでで、その一定のラインを抜けていくとき、それは教えられる世界ではなくて、師匠について、師匠がつくる世界を肌で感じ、寝食を共にしていき、さらに酒造りのセンスがある人でないと伝わらないものだと思います。
最近は蔵が自分たちの酒の味を自分たちでしっかりと守らなければいけないと「日本酒ルネサンス」的な動きになってきています。それと同時に20〜30代の若い世代の人たちが、やる気と情熱をもって蔵に入る人たちが増えてきたので、日本酒業界としてはこれからがより楽しみで、期待が膨らんでいます。」
文句なしのいいお酒を飲みながら、日本酒の深い世界を肌で感じさせていただき、より日本酒への興味がわきました!
さぁ、最高の日本酒を手に入れ、あとはホタルイカの光の絶景を眺めながら嗜むのみ!
待ってろよ、ホタルイカ!!!(パート2)
富美菊さん、ありがとうございました!
〒930-2214
富山県富山市百塚134-3
電話
076-441-9594
営業時間
9時00分~12時00分 / 13時00分~17時00分
定休日
土曜日、日曜日、祝日
公式HP
※現在、一般の方の蔵見学はお休みしております。