02(しっぽり。)
よし、気合を入れていくぞ、わたし!
まずはテントだ。
なっかなか組み立てるのが上手にならないんだよなー。
急に超イケメンが現れて「手伝おうか?」なんて言われちゃったりなんかして、「ぜひ、お願いします」ってなって、「キミ、かわいいね」って言われて、そんで、……なーんてことあるわけないかー。早くお酒呑みたい。
今回用意した熱燗用の日本酒は、職場の上司が「日本酒だったらなんでもいいって訳じゃないんだぞ」と言って教えてくれたもの。
あれ?
今思えば、上司をキャンプに誘うべきだったのかな……?
ま、いっか(笑)。
どこから手をつけようかな。
腹が減っては戦はできぬと言うとりますけれど、やっぱりまずはお酒ですな〜
(おっとっとっと、)
「携帯・アウトドア熱燗セット」の上に「酒かん計」を刺してじっと待つ。
この「酒かん計」をつくった人、ホント、天才!
これで中のお酒の丁度いい温度がすぐわかる。
ちなみに熱燗にもいろんな分け方があるみたいで、
上司曰く、
30〜35℃が、日向燗
35〜40℃が、人肌燗
40〜45℃が、ぬる燗
45〜50℃が、上燗。
50〜55℃が、あつ燗
55℃以上が、飛びきり燗
って言うらしい。
(こまかすぎるでしょ!)
とか言ってる間に、できた〜。
はいはい、お疲れ様です〜。
(うむ)
(うむ!!!)
最初に呑んでみたのは
「風の森 純米 無濾過生原酒(奈良県/油長酒造)」
▼上司の解説
生原酒って熱燗にはあんまり向かないお酒なんだけど、これはおいしいよ。ちなみに温度で味が変化するのはもちろん、開栓直後と数日後の味の変化もおもしろいお酒です。まさに生きているお酒って感じを楽しんでな。(上司より)
うん、たしかにおいしい!
ちょっとだけシュワっと微炭酸を感じるし、のどを通るときに香りが広がっていくみたい。初心者のわたしにもやさしい味。さっすが上司。すごっ。
ま〜た、この炙った「焼きまる干しいか」の濃ゆい味と日本酒が合うんだ〜。たまんないな!
ホタテも焼き焼き。
なになに?ホタテさんもお酒が飲みたいって?
しょ〜がないな〜、お裾分けしてあげよう!
(ほっくほく)
ひと口で食べきれない大きさのホタテなんて、すんげ〜。
貝がパカーって開く瞬間って、すごくテンションがあがる(笑)。
はまぐりにも熱燗を注ぎまして……ほぉ、乙ですな。
二本目の日本酒は
「黒牛 純米酒(和歌山県/名手酒造店)」
▼上司の解説
このお酒は蔵の井戸水を使用してつくられている日本酒で、辛口のなかにやわらかい香りと甘味と旨味を感じられるのが特徴。海鮮にとても合うから、一緒に楽しんでみてくれ。(上司より)
なるほどー。たしかにキリっとした辛口で、貝との相性バッチリ。
でも、甘口好きなわたしにはちょっと辛すぎたな。上司が説明してくれたときの口調はめちゃめちゃ好きそうだったから、やっぱり好みって大切なんだな。うんうん。勉強になる。
そうだ、お豆の存在を忘れておった!
マカダミアナッツの殻をとって、カシューナッツと一緒に燻製にしてみようという計画じゃった。
「LOGOSの森林 クラフトスモーカー EMiwa」にお豆たちをセット。スモークウッドのサクラで香りをつけてみる。どうなるかな。楽しみ。
待ってる間にもう一杯ひっかけよう〜。
三本目は
「月波ノ月 純米酒(長野県/薄井酒店)」
▼上司の解説
このお酒は地元の道の駅からのオファーで「熱燗のために」というコンセプトでつくられたもの。月波ノ月は純米酒なんだけど、月波ノ波という普通酒もあって、こちらもおすすめ。熱燗が好きになったらそっちも呑んでみてくれよな。(上司より)
そう言われて、ちょっと楽しみにしていた一本なのだ。
(キャー、しあわせ!)
口に入った瞬間は甘口のような印象で、のどを通り過ぎるときには辛口に変化しているような。とってもやわらかくて、なんだか水のように呑んでしまう。こいつは危険だー(笑)。
熱燗にすることで味の角が丸くなったような気がする。熱燗、深いな〜。
そうこうしているうちに、燻製ができたかな⁉︎
うん、いい香り。
これまたお酒がすすむおつまみをこの世界に生み出してしまった。
マカダミアナッツの方はそこまで香りがつかなかったけど、カシューナッツは十分すぎるほど香りづけができた。これ、家でもずーっと食べてたいな。
(……すこしずつ……酔ってきた。)
鳥藤さんの焼き鳥。
「グリルアタッシュmini」にぴったりサイズすぎて、好き。
(オヨヨ! うんまーい!)
えっへん! わたし史上最高の焼き鳥だ。
ひとり「とり焼肉セット」で、これが本当の「鳥貴族」(なんてね)。
店主から「油を落とさずに大切にしてください」というアドバイスをもらった。その油がおいしいのなんの。やっぱりお店の人の言うことは間違いありませんな!
そういえば、上司が「じつはすごい裏メニューがあるんだよ」と自慢げに教えてくれたのが「黄金蜜酒」という「みりん」。
これを熱燗にして呑んだら……甘!!!
べっこう飴みたいに甘い。
たくさんじゃなくて、デザートとして楽しむにはたしかにいいかも。
(ふー。ふー。)
仕込んでおいたタコ飯が炊けたぞぉ。
(いい感じだー、わたし、すごい!)
おいしい〜、外で食べるタコ飯は最高ですな!
(きっと言っているのは世界でわたしだけだと思う。)
そして、4本目は
「東洋美人 純米大吟醸(山口県/澄川酒造場)」
▼上司の解説
この日本酒は、とにかくフルーティな香りが特徴。基本は冷で呑むのがおすすめって言われるけど、熱燗もばっちりおいしいです。和三盆のようなふんわりとした甘さがあるから、甘口好きな君にはいいかもね。ぜひお試しあれ!(上司より)
わー、これ、わたしの好みのど真ん中!どストライクです。
好きなお酒が見つかるのって、すんごくうれしいのね。
上司、ありがとうー!
(しまった、タメ口になってしまった)
すこし酔ってきたので、散歩がてら近くの浜辺へ行こうかな。
(あれま〜、ひじょ〜に寒いです〜。)
海を眺めながら、最後にしっぽり呑もうかな。
最後の一本は
「玉川 自然仕込み 純米(山廃)雄町 無濾過生原酒(京都府/木下酒造)」
▼上司の解説
このお酒はおいしいのはもちろんだけど、それ以上におもしろい! 最初の一杯よりも最後の一杯のほうが美味しいという声も多く、どんな温度で呑んでもおいしいと評判。とても管理が楽なお酒で扱いやすい。この日本酒の杜氏がイギリス人のフィリップ・ハーパーさんという人で、ドキュメンタリー映画「カンパイ!世界が恋する日本酒」の主役の一人にもなってるんだ。楽しんで!(上司より)
ハーパーさんもすごいけど。上司の熱がすごい。
(上司の熱で熱燗できるんじゃ?)
そして、たしかに味もおもしろいなぁ。
香りもコクもあって、どこを捉えていいかわからない。
きっとハーパーさんの努力が詰まってるんだろうなー。
※わたしの想像のハーパーさん
夕日が見えるかなと思ったけど今日は曇り。ざんねん。
でも、ひとりで海を眺めてる時間、好きなんだよな〜。
こんなご時世でいろんな制限があって、辛いこともあるけど、なんか新しいことに挑戦できたことは不幸中の幸いかな、なんて思ったり。
今日も最高に楽しいソロキャンプだったな。
熱燗の世界もちょっと知ることができたし。
さぁ、次のソロキャンプはどんなテーマにしようかな。
(おしまい)