02もっとワインが知りたくて、
ワインって「難しい」ってイメージありますよね。なんでそんなイメージがあるのかはわかりませんが、逆にワインのどこにたくさんの人を魅了するロマンがあるのか、その不思議を知りたくて、東京都内にある「深川ワイナリー東京」さんへと向かいました。
と、その前に！
そもそもワインってなんなのか？？？
そんなところからはじめていきましょう。
酵母がブドウの糖分を分解して、アルコール発酵したもの、つまり醸造酒がワインです。
この時点で「むずっ！！！」という印象になる方もいるかもしれませんが、要は「ブドウのお酒」ということです。それでいいじゃないですか！ １つだけ大事なことは、基本的には「ブドウだけ」でワインをつくることができるということです。
そうなると、ワインの味は以下の要素で決まります。
●ブドウの品種と産地
●生産された年
●生産者と製造方法
まず、ワインをつくることのできるブドウの品種は約100種類もあると言われています。
100種類ですよ。100種類！
有名なところでは赤ワインなら「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロ」や「ビノ・ノワール」。白ワインなら「シャルドネ」や「ソーヴィニヨン・ブラン」、日本の「甲州」も聞いたことがあるかもしれません。
果物ですから、品種の違いで味が変わるのは当たり前ですよね。カタカナばかりが並んでややこしくなってきましたが、詰まるところ、自分の好みを見つけるには、いろいろな「品種」を試せば、まずは好みの方向性がわかって、「好きなワイン」に出会いやすくなります。
次に、「産地」です。
例えば、あの有名な「ボージョレ・ヌーボー」も「ボージョレ」という地区でできたワインです。あの泡がシュワシュワしている「シャンパーニュ」も「シャンパーニュ地方」を意味しています。フランスの「ボルドー」や「ブルゴーニュ」、イタリア、スペイン、チリ、アメリカ……などなど、世界各国いろんな場所でワインは作られていて、その産地によって育ち方＝味の違いが生まれます。
それぞれの地方で盛んな品種はあれど、まずはこの「品種×産地」の組み合わせだけでも、果てしないほどの組み合わせがあるわけです。
そこに、「生産された年」「生産者と製造方法」まで入ってきたら……もう、終わりなき旅なのであります！
「おいしいワインに出会って。そのワインに合う食材を知ったりして。そのワインの生産地がどんなところなのか気になって。その場所に行ってみたくなって。自分でワインを作ってみたくなっちゃったりもして。どんどん文化や知識を知りたくなっていく。それがワインの世界のおもしろいところであり、楽しんでもらえるところだと思います」
今回、取材にご協力くださった「深川ワイナリー東京」の上野浩輔さんがワインの楽しみ方についてお聞きした時、そう教えてくださいました。「もっと知りたい」と思えるところにこそ、ワインの魅力があると。
そんな深川ワイナリー東京は2016年から始まりました。
東京都内では現在約６箇所のワイナリーが確認されており、年内にもいくつか増える予定があるそうです。一部このワイナリーでつかわれているブドウは地元・深川産。近所の赤札堂というスーパーの屋上に畑をつくって栽培しています。とはいえ、まだ生産量が多くはないため、他県で栽培されたブドウにブレンドして作られていますが、年々生産量が増加していくなかで、将来的には「100%深川産」のワインも作ってみたい。そして、地産地消していくことが楽しみなのだそうです。
さらに深川ワイナリー東京はユニークな取り組みも行っています。
「沈没船の中から出てきたワインがおいしいって話知ってます？（笑）」
じつはお隣にある海洋大学と産学連携して、毎年冬からゴールデンウィーク頃までの約半年間、海の中にワインを沈めておくという実験をしています。そうすることで海中熟成して、まろやかな味わいに変化していきます。
ただ、海に沈めたからなのか、温度の変化なのか、波に揺られたからなのか。はっきりとした理由は証明することがまだできていません。しかし、味はハッキリとまろやかになっている。けれど、ワインの食品分析を行っても、数値の変化はまったく無く、しかし味は変化しているという、まるで都市伝説のような、七不思議な現象を解明しようと試みているそうです。
世の中の状況にはよりますが、ワイナリーにはレストランとショップが隣接していて、その場でお料理と楽しんだり、試飲やワインの購入が可能です。
ほかにも収穫体験や海中熟成を催しにしたりと、上野さんはワインを通した「コトづくり」を目指したいと考えているそうです。お客さんにユニークな体験を提供できるように、そして「東京」らしいワインは何かを追求しながら、「深川ワイナリー東京」は今日もワイン作りに励んでいます。
