ご当地BBQ@愛知

VOL.85

ご当地BBQ@愛知

春といえばおなじみ、この企画! 47都道府県を毎年1県ずつめぐり、その土地のご当地メシにあやかるという、ただただ楽しくておいしい企画です(笑)。沖縄、香川、山口ときて今回は4ヶ所目、初となる中部地方。愛知のご当地がどんな感じだったかというと……もう、この写真がすべて物語っていると思うのですが、食べては笑い、笑っては食べのエンドレスリピートな1日でした。レッツ・ラ・BBQ!

撮影/関 暁  取材・文/安部しのぶ

01グッドモーニンBBQ!

卵も30個用意。
新製品「S grill
サンドイッチ i
「CURRY」の色違
こちら、「MOUNT
うわぁ!! いま
ひつまぶし、天むす、台湾ラーメン、手羽先唐揚げ、あんかけスパゲッティ、味噌カツ、味噌煮込みうどん…etc、ほかの県と比べても、ご当地グルメがかなり多い印象の愛知。いろいろあって悩むけれど、まずはここからでしょ! と選んだのが「モーニング」です。ご当地BBQ初の早朝スタート!

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02タープに絵を描く。

Painted by TEAM GEIK
うわ!? すごい
今回のメンバーがデザイン系の大学出身者ということで、タープをキャンバスに見立てて絵を描いてもらいました。気の向くままにワイワイと10人全員で描いてもらったところ…予想以上に迫力の絵が完成! 愛知のとあるものをモチーフにした、ご当地アート作品をご覧ください。

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03

 ご当地BBQ。都道府県を毎年1県ずつめぐり、その土地の人とご飯にふれる企画の第4弾だ。すっかり毎年恒例になっているので、この企画の準備を始めると「あぁ、春がくるな」と感じる。
 4ヶ所目は、愛知県。初の中部地方に進出である。
 サンプル数が多くないので信憑性には欠けるかもしれないけれど、いままで私が出会ってきた愛知県出身者は、みんなもれなくおもしろい人たちだ。けれど、みんな口を揃えて「愛知はなにもないところだ」と言う。それが、ずっと不思議だった。ひつまぶしも、手羽先唐揚げも、味噌煮込みうどんも、トヨタもあるじゃない。『ドラゴンボール』の鳥山明先生もいるじゃない。そう伝えても、「そういうことじゃないから」と言われる。愛知になじみがなく、それ以上の知識を持たない私は、「そうなんだ」と言うことしかできなかったけれど、はたして本当に「なにもない」場所なのだろうか?
 そして迎えたBBQ当日。朝7時半、彼らをキャンプ場で待ち構えていると、駐車場のほうからどっ! と爆発するような笑い声が2、3発聞こえてきた。みんなが到着したらしい。
 こちらに向かってくる彼らを見て、ぎょっとした。10人中、半数ほどの人がTシャツ姿なのだ。凍えながら歩いてくる。そりゃそうだよ。いま、早朝で7℃だよ? そんな心のツッコミはもちろん届かず、「さみぃ!!」とブルブル震えて笑っている。意味がわからない。笑いたいがために半袖になっているんだろうか。 
 集まった10人は、22歳から25歳。名古屋市立大学の芸術工学部という、建築&デザイン系の学部を卒業した同窓生たちだ。そして、LOGOS入社3年目の官林くんの学生時代の仲間たちでもある。彼はいま大阪本社に勤めているけれど、学生時代に名古屋にいたことで、今回のメンバーを集めてくれたのだ。


 ご当地メシの「モーニング」作りが始まるや、私は「あ、いままでと全然違うわ」と察した。そしてその場にICレコーダーを置いて、録音することにした。いつもご当地BBQの取材では、「ご当地らしさ」について気づいたことや、参加者の興味深い言動があればちょこちょことメモを取っている。けれど今回、会話の数が多すぎてメモが追いつかなかったのだ。べらべらしゃべる。めちゃくちゃ笑う。そして、どんどん動く。聞けば、学生時代に学園祭の実行委員会をやっていたメンバーが多いグループだとのこと。なるほど納得。まさに、学祭の出店のような雰囲気だ。
 デザイン系の出身だからなのか、料理にも創意工夫が満載だった。
 ゆでた卵に焼印をつけようとしたり(失敗)、「LOGOSホットサンドパン」でベーコンエッグを作ろうとしたり(失敗)、同じくホットサンドパンでパンケーキを焼いてみたり(まぁまぁ成功)。そこにスキがあれば、容赦なくツッコミが飛ぶ。官林くんが作ったLOGOSのメイプルリーフ型のパンケーキも「なに? ムササビ?」「にゃんこスターが持ってるやつ?」などと散々な言われようだった。
「集合写真を撮るよ、いい笑顔で!」とカメラマンの関さんがカメラを向けると、誰からともなく「バーベ1、バーベ2、バーベ3、バーベ4、バーベ5、バーベ6、バーベ7、バーベ8、バーベ9~!」とオリジナルのコールが湧く。「最後の口の形が“い”じゃなくて“う”になってるから!」と関さんがツッコんだら、「あ、そっか!」と言って「バーベ10~!」と追加した。10も“う”だって。口の形がさっきとまったく変わっていない。みんなで爆笑した。
 BBQはほとんどそんなノリで、正直、笑っていた記憶しかない。テンションの高さに、「みんなで飲んでから来たのかな?」と思ったほどだ。ICレコーダーを聞き返したら、爆笑の声が大きすぎて、音が割れて録音されているところがたくさんあった。
 愛知での生活を思い切り楽しんでいるであろう彼らに、愛知のよさを聞いてみた(※彼らの雰囲気を感じてもらうため、レコーダーに録音されていたリアルな会話でお届けします)。
「いいところ? ほどよい都会」「パンチ弱いなー」「まとまりがない街」「まとまりのなさが逆にいい、みたいな?」「逆に言えばOKってわけじゃないから」「寄せ集め」「言い方!」「じゃあ、多種多様」「グローバル」「グローバルな人、おったっけ?」「おらん」「いろんなところからいろんなものが集まってくるっていうよさ?」「それを混合して無理やり愛知のものにしてやるっていう気概?」「アッハッハ!」「そうそう、パクるのがうまい」「みんなたいがい、性格悪いよね」「たしかに。俺らのまわりにはクズしかいねえ」「日本一運転が荒い。悪名高い名古屋走り」「友達が遠くから遊びに来た時に案内するところがない」「あー、あるある」「日本三大ブサイク」「デリカシーがない」「お前だけだよ」「いや、みんなない」
 ……自虐がすごい。少しでもいいコメントを引き出したいと、「“いいところ”はないんでしょうか?」と強調して質問すると、うーんと少し考えて、口を開き始める。
「赤味噌がおいしい」「おいしいパン屋さんがある」「へんに気取らなくていい」「あ、その回答、いいかも!」「東京だとこの髪型で外に出られないもんな」「東京と大阪に行きやすい」「その通りだけど、愛知のよさそれでいいの?(笑)」「ハートフル。名古屋はみんなハートフル」「一句詠むな」「アハハ!」「老人がすごい近い」「あったかいよね。本当に、ここに生まれてよかったなって思う」「お前、生まれてねえじゃん。出身違うじゃん」「アハハハ!」
 ダメだ。脱線するし、聞きながら笑ってしまってインタビューにならない。いくらつついてもこれ以上は聞き出せそうもないので、私はレコーダーを止めた。
 今回一番衝撃を受けたのは、こんな息ピッタリの10人が集まったのが、はじめてということだった。もちろん学生時代の面識はあるし、この10人のうちの2~3人で旅行に行ったりと、小さな仲良しグループは点在している。けれどいつもは別のグループとつるんでいるという人もいたし、はじめまして同士の人もいた。それが本当に驚いた。
 芸術工学部の学生は1学年100人くらい、全学年で400人程度。それが年上も年下もなく、めちゃくちゃ仲がいいという。「製図室」という共通の作業部屋で朝も夜もなく作品作りに勤しむことで「家族より誰より一緒にいる」4年間をすごす。学祭をみんなで作り上げたり、卒業パーティーで酔っ払ってここでは書けないようなひどい有様になったりと、そういうイベントを打つたびに垣根がどんどんなくなるらしい。卒業してからも大学の仲間たちが好きすぎて、みんなしょっちゅう愛知に帰ってくる。実際、今日のメンバーによると、大阪暮らしのLOGOS官林くんも「いまでも名古屋にだいぶ来てる」とのこと。逆に官林くんに会いに、大阪へ行ったりもするらしい。散り散りになった友達に会いに行きやすい立地は、たしかに愛知のいいところかもしれない。
 今回は「愛知」がテーマだったので、そんな学部出身者のなかからいま愛知県に住んでいて、スケジュールがあう人が集結したそうだ。空気的に完全に、学生時代に毎日遊んでたやつら、みたいな感じだったので、聞いたときは本当にビックリした。タープに合作で絵を描いたときの息のあいっぷりと、完成した作品のまとまり具合も、そう思わせた要因だったのかもしれない。


 このシリーズ企画は、ご当地の人とご飯にふれ、“その土地らしさ”を感じることが目標。なのでいつも、作ったご当地メシは試食させてもらっている。おすそ分けしてもらった味噌煮込みうどんを食べて、現地の人は濃い味を好むことがわかった。袋麺に入っている規定量の粉末スープでは全然足りないらしく、2袋の麺に対して5袋分のスープを使う。口の中にガツンとくる味噌の味。最初は「濃い!」と衝撃を受けるけれど、どんどんやみつきになってくる。
 けれど今回、味噌煮込みうどんのほかには、なにも食べられなかった。小倉トーストは気づいたらすでになくなっていたし、取材班が一番期待していた手羽先の唐揚げが回ってくることもなかった。2度揚げされ、カラリといい色に仕上がった手羽先は、ゲラゲラ笑う彼らの口元へ、ビールと共に放り込まれた。ふだんは食に興味を示さず、ずっと撮影しているカメラマン関さんがこっそりと「手羽先、食べられなかったね」と耳打ちしたので、残念だったのは私だけではない。
 今回は、言ってしまえばただ単に、彼らが楽しんでいるBBQの空間にちょっと私たちがお邪魔しただけ、という感じだった。もちろん、気にかけてくれたり、気さくに話しかけてもくれるけど、基本的には全然、取材班を気にしていない。ご飯もくれない(笑)。それが、すごくおもしろかった。
 取材スタッフのひとりであるLOGOS広報の寺園さんが、「みんなを見てたら、友達に会いたくなってきた」とつぶやいた。その気持ち、めちゃくちゃわかる! 友達といる時の楽しさが、ここにはぎゅっと凝縮されている。さっき食べた煮込みうどんのような濃さで。
 そうか。“愛知”じゃなくて“みんな”について聞けばいいんだ。彼らの姿を見て、思い立った。ICレコーダーを再び回して、今度はひとりずつに聞いてみた。大学の仲間たちは、あなたにとってどんな存在ですか?
「呼ばれたら、ほかの予定をキャンセルしてでも会いに行きたい存在。仕事をしてるから実際行けるかどうかはわからないけど、行ったら絶対に楽しいことがわかってるから」
「定期的に会うと、リラックスできる。いつもおもしろいみんなは、私にとって最高の仲間です」
「僕にとっては……兄弟ですね」
「今日はわりと仲間内でも初対面の人もいて。でもまぁ、いつもの感じになりましたね。こんなノリは、仲間の誰がこようとたぶんなると思います。愛知の人っていい意味で適当な人が多いんですよ。いい加減具合が、良い加減、というか。めっちゃ遊びまくるのに、ものを作る時は急にスイッチ入ったりして。そういう空気が、僕の性格にはあってるのかなって」
「年に1度だけ顔を見せるだけでも、なんやかんや10分後にはすぐに仲良くなってる。最初ちょっと、『どんな感じで接してたっけ?』という回復の時間があって、ちょっと戸惑うけど(笑)、すぐに戻れるという」
「人生のなかですごした時間が長いので、その分の絆があると思います。…って、こっ恥ずかしいな(笑)」
「またこういうふうに集まったりするだろうなと思います。みんなとの時間は、本当に長かったから」
「地元から出て来て、親よりもはるかに時間をすごしているので、名古屋での家族みたいな感じです」
「僕はみんなより2つ下ですけど、ふつうに友達みたいな感じです。みんな、めちゃくちゃだけどやさしい」
「尊敬する人たち、自分が持っていないものを持っている人たちの集まり。人間としてすごいなと思う人たちがいっぱいいて。絶大なインスピレーションを受けて、入学したときには想像もつかないような自分になれました。この大学に入らなかったら、人生だいぶ違ってたと思う」
 ……みんな、めちゃめちゃいいこと言うじゃん! さっきまでの愛知ディスから、はにかみつつ答えてくれるこのギャップよ。まさに、「良い加減」の人たちだ。
 私の少ないサンプル数に10人足されただけで、「これが愛知の人ですよ」なんて断言は到底できない。けれど、やっぱり愛知の人はおもしろかった。本人たちが「なにもない」と言うその気質はきっと変わらないだろうから、そのぶん、県外の私が「おもしろい」と言い続けようじゃないか。
 これにてご当地BBQ@愛知は終了。「このあとどうするの?」と何気なく聞くと、この10人が20人に増え、大きな飲み会に発展するとのこと。最後の最後まで私たちを笑わせて、彼らは手を振って帰っていった。


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