01山編:滝のち、たき火?
男ふたり、キャンプ道具を車に積んで向かったのは静岡県の伊豆半島。南北約60km、東西約40kmの火山活動によって形成されたその半島は海に囲まれていて半島のほとんどは山地。そのため豊富な降水がもたらす地下水と、美しい川の宝庫なのです。伊豆半島の旅は水を巡る旅でもあります。地蔵堂川にて。
旅の相棒、渡邊慧人。ゲームも好きだけど自然遊びが大好きな12歳。海も山も好きで、サーフィン好き、釣り好き、たき火が好きで料理好き。スケボーに漫画に……たくさんある好きなものは、ほとんど僕の好きなものだということに改めて気づきました。
伊豆半島といったら滝の宝庫。名爆がたくさんあるのです。滝好き親子としては滝のリサーチはかかせません。2人で地図を見て、行き先を決めておいた萬城の滝へ。駐車場から森の中の遊歩道をしばらく歩くと、ドドドドォー! と、滝の音が聞こえてきましたよ。この滝は大きそう!
こちらが萬城の滝! 高さ20メートル。豪快です。滝にもいろいろ種類があるんですけど、これはものすごく美しい形の直瀑系(滝口から滝壺まで垂直に落下する滝)。滝を眺めていると、どうにも打たれたくなってきます。なぜなら、滝に打たれるって最高のメディテーションですから。
「水のパワーがすごいね!」と息子。滝に近づくと、あたり一体に飛沫が巻きあがって身体を包み込みます。玄武岩の柱状節理による滝の岩肌の景観も相まって、幻想的な光景です。滝好きの僕に連れられて、息子も日本各地で滝に打たれてきましたが、さすがにこのスケールの滝の前にして「打たれようよ!」の一声は出てきませんでした。この水量はちょっと危険かも。
滝から流れる地蔵堂川沿いの遊歩道を歩くと、周辺にあるわさび田から種子や苗が流れ出ているのか、遊歩道のそこかしこに自生したわさびを発見。渓流や湧水を利用して栽培される水わさび栽培は、約400年前に静岡県の山間部で始まったそうです。
川での遊びといったら昔もいまも(?)笹舟遊び。彼は小さな頃から川に来ると必ずやっているので、ものすごい早さで笹舟を完成させます。笹じゃなくても葉脈の方向が縦の葉なら作れますよ。笹舟を流すことで川の流れと動きがわかったりして、釣りの時にも役に立つのです。ものすご〜く素朴な遊びなのですが、おすすめ。
気持ちよすぎて川遊びで一日が終わってしまいそうでしたが、陽が暮れる前にテントを張らないと! ということで、夜に食べたいものを買ってから、キャンプ場に向かいます。
伊豆の森の中に位置する「河津オートキャンプ場」へ。テントは「Tradcanvas Tepee&タープ350-BB」 をチョイス。これまで何度も一緒にキャンプをしてきたけれど、テント張りはほとんど僕の仕事でした。でも、今回の旅ではじめて彼に任せてみると、テント張りの行程を理解しているし、ペグを打つ力も強くなっていました。成長を感じるペグダウンにちょっぴり感動です。
息子は根っからのたき火好き少年。彼にとってキャンプの楽しみと、たき火の楽しみはほぼイコールの関係です。キャンプサイト管理棟にて、よく乾いた薪を手に入れてご機嫌。「ベイラーバッグ M」に薪を詰め込んで。
今回のキャンプで彼がしてみたかったことがファイヤーストライカーセット(10月中旬発売予定)を使っての火おこし。テレビ番組の『アイ・アム・冒険少年』をこよなく愛する息子にとって、憧れの火おこし方法です(番組ではさまざまな火おこし方法が登場します!)。「ウッドな火付け体験キット」(8月下旬発売予定)から薄い皮状の木片をセットして、シュシュッと散らす火花。たき火台は「LOGOS the ピラミッドTAKIBI L・コンプリートDX」をチョイス。
「火がついた!」と歓喜の声。着火した火種を大切にして、フーフーと息をかけて火を育てる。煙が目に染みたって息を吹くのをやめちゃいけません。しばらくすると勢いよく火が燃えだしました。細い木から太い木へと徐々に木を足して、火を大きくしていく。冒険少年、ミッションコンプリート。ものすごく満足そう。
太い薪に火が移ればたき火が安定します。「LOGOS 火吹き棒」をシャキーンと延ばして空気を送ると、たき火の炎が上がりました。こうなるともう、ずっと火の番です。お願いしなくても火を絶やさぬように、たき火番をしてくれました。火おこしミッションコンプリートのお祝いに、マシュマロを食べるらしいです。
テントが張れて、火がおこせたなら料理の時間です。今晩の料理のテーマは、MAKIBI料理。男ふたりですからワイルドに、ニンニクとパプリカで味つけした野菜とチキンをトルティーヤで包んで食べるファヒータ・スタイルで。調理アイテムは「LOGOS 鉄の職人グリルパン16-BC」をチョイス。
ソテーしたチキンと野菜にサルサソース、アボカド、サワークリームやチーズを好みでのせて、ライムを絞って、できました! チキン・ファヒータ。ひとつ食べると、けっこうおなかいっぱいになります。
たき火少年の夜はまだまだ続きます。ファヒータをがっついたあとのソーセージタイム。ソーセージを食べたいからなのか、たき火でなにかを焼きたいからなのかは謎ですが、とにかくこの時間が楽しいみたい。ちなみに、たき火の炎を眺めていると目がとろ〜んとしてくるのはなぜかと調べてみると、たき火と癒しの関係を研究した数々の論文がありました。炎のゆらめきと音が「1/fゆらぎ」という特別なリズムを生むそうなんです。なるほど。僕も1/fゆらぎのおかげで眠たくなってきました。おやすみなさい。