Report打首、サンボ、初のフェス
今回「はじめてのフェス」の企画は、自分自身が“はじめて”だったからこそ生まれたものでした。
3年ぶりの開催となった「JOIN ALIVE 2022」。毎回協力しているLOGOSのwebメディア「月刊LOGOS」として取材を行う際、フェスの取材であるにもかかわらず、編集長である自分にフェス経験がないことが本当に大丈夫なんだろうかと、不安だったのが正直なところです。
それでも、同じようにフェスへ参加したことがない人たちに、せめて実体験を元に役立つことを伝えることで、そのハードルが下がってくれたらと思っています。
この章まで「10の役に立つこと」をお伝えしましたが、その取材中も今回は今まで以上に「楽しもう!」という意気込みで、一観客のスタンスで参加をさせてもらいました。
日頃から打首獄門同好会のファンだったので、そのステージを見るのが楽しみで仕方がありませんでした。なんとも幸せな取材です。「日本の米は世界一」が流れはじめたときは夢中になりすぎて、取材のことは頭の中になかったと思います(笑)。
「フェスのいいところってなに?」
そんな質問に答えるとするならば、なんとなくは知っているけれど、じつはあんまり知らなかったアーティストのライブを見ることができたり、普段は好みじゃないジャンルでも耳に入ってきたりする。つまり、“音楽との出会い”があるところなんじゃないかなと思います。少なからず、今回のJOIN ALIVEで自分はそんな経験をしました。
今回のフェスで俄然人気があったのは、個人的感想ですが「MAN WITH A MISSION」でした。失礼ながらも、今までは「オオカミたち」っていう印象しかなくって、あんなに人気があるとは知らなかったです(本当にお恥ずかしい限り……)。ライブを見た時も、カッコいいなと感じつつ、自分にハマったかというとそこまでではありませんでした。
そのはずなのに、この日からなんだか頭から離れなくって、気づけば毎日のように「MAN WITH A MISSION」を聴いてます。あの熱狂的なお客さんたちの手拍子や腕の振り、雰囲気も全部込みで記憶に残っていて、気づけば好きになっている自分がいます。イヤホンを通して聴く出会いだったら、きっとこんなにハマってなかったので、不思議な体験でした。
自分の心を完全に射抜いたのはサンボマスターでした。
あのライブを見た人であれば、きっと大きくうなずいてくれているのではないでしょうか。
ボーカルの山口隆さんが、
「3年ぶりのJOIN ALIVE」
「伝説残すぞ」
「3年ぶりだから笑って帰れよ、お前ら!」
「伝説の大トリにしましょう!」
「3年ぶりだぞ」
「3年ぶりだぞ」
「3年ぶりだぞ」
そう観客全員を鼓舞し、それに引っ張られるように観客全員の熱が込み上げてくる。
今回のJOIN ALIVEではコロナの感染予防対策によって、パフォーマンス中に観客が声を出すことは禁止されています。それでも全員の熱が込み上げてくるのがわかるんです。
そこで山口さんが続けて
「声出せねぇなら、元気だせ!」
と全員に向かって叫ぶ。
そう言われると、余計に声を出したくなる。
でも、声は出せない。
また山口さんが叫ぶ
「声出せねぇなら、元気だせー!!!」
もうカオスな状態です。
そしてなぜか、涙が出てくるんです。ずっと3年間コロナのせいで人と会うことがよしとされない環境で、大切な人にも会えなくて、友達にも会えなくて、誰のことも恨めなくて、苦しくて苦しくて、みんながしんどかった日々。人間ってしっかりと順応して、忘れかけていくんですね。その時の感情が一気に込み上げて来て、同時になんだか報われた感覚になりました。周りの観客全員がもちろん知らない人なのに、みんなに会えて本当によかったと思えた瞬間でした。
さらに曲は次々に演奏され、山口さんの名言も次々に。そのなかでも、
「全員優勝!」
この言葉がすごかった。いま、文字にして思います。「全員優勝」って、まったく意味は正しくない。矛盾している。でも、そんなことはどうでもいいんです。もう、魔法の言葉なんです。ひとりも置いてけぼりにしないぞという気持ちなんです。
「全員優勝!」
「全員優勝!」
「全員優勝!」
その言葉と歌に励まされ、いろんなことを忘れて興奮し、「このフェスに参加できてよかった」と心の底から思いました。あのライブは自分にとって紛れもない伝説となっています。
「フェスが人生を変えてくれた」は大袈裟ですが、少なからずフェスに参加したことがある人生になってよかったです。次回は家族や友人と再びJOIN ALIVEに参加したいと思っていますし、別のフェスにも行ってみたいと思っている今日この頃です。
ちょっとの勇気で世界が広がります。僕がそうであったように、あなたにも素敵な音楽との出会いと、心が躍るような楽しいフェスが待っていますように。