01
赤ちゃんキャンパー
そのとき、渓太くんがすごく軽いテンションで言うんです。
「うちの家族って、“赤ちゃんキャンパー”なんだよね」
はじめて耳にする言葉に、
「赤ちゃんキャンパー? なにそれ?」
と聞き返すと、
「え? 結構いま普通にいるよ!」
と即答されました。
キャンプに年齢制限があるとは思ってませんが、なんとなく「赤ちゃんには早いんじゃないか」みたいな勝手な固定概念があったので衝撃でした。
ということで、後日、ぜひ取材をさせてほしいと藏薗家にお願いをすると、快く引き受けてくれたのでありました。
2020年11月2日夕暮れ時
藏薗家は都内の自宅で支度をしていました。藏薗家が「一度は行ってみたかった」という『無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場』へ、翌日から二泊三日のキャンプに向かうためです。
現在2才の長女・京(みやこ)ちゃんは、キャンプデビューが生後6ヶ月のとき。今回のキャンプで10回目となります。きっと来年にはベテランキャンパーですね。
長男の庵(いおり)くんは、なんと今回のキャンプが3回目! オギャーと産声をあげてからまだ8ヶ月しかたっていません。京ちゃんも庵くんも、首の座りと腰の座りが早かったので、キャンプデビューが生後6ヶ月のときでした。それでもすこし心配になり、「本当に大丈夫なの?」と藏薗夫婦にたずねても、まるで芝居を見ているような息の合わせ方で「大丈夫だよ!」と満面の笑みを浮かべます。
翌朝9時都内を出発し、スーパーに寄ったり、蕎麦屋に寄ったり、間違えた道に寄ったり(つまり迷子です)しながら、『無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場』に到着したのが午後の2時。
テントやタープを建て、火を起こす。子供たちは寝たり起きたり泣いたりしながら、ゆっくりと「家族の時間」を楽しみます。
そのおかげでできた自由な時間で、妻の友梨さんがずっとやってみたかったコーヒー豆の焙煎をしていました。手間をしっかりとかけた分、予想以上においしくできあがり、興奮している友梨さん。夫の渓太くんはそのコーヒーを妻に渡され、口に入れ、ひと言、
「おれ、ファミレスの薄いコーヒーが一番好きなんだよね」
んーーー! 失格!!!(笑)
広いキャンプ場で飛ばす凧揚げは最高でした。京ちゃんが朝7時から「タコ!」「タコ!」と強く主張するので、「第一回藏薗家凧揚げ大会」を開催することになりました。この日は快晴で、風が強く、つまりは凧日和です。
凧はしっかりと風と京ちゃんからの声援を受け止め、書いて字のごとく「あっ!」と言う間に50mほどの高さまで飛んでいきました。声援に応えて簡単に飛んでしまったのが逆効果だったのか、言い出しっぺの京ちゃんはわかりやすく飽きてしまい、凧揚げ大会は30秒という早さで閉会式となりました。
渓太くんは現在、父が営んでいるフライフィッシングの釣り具を専門に扱う「WALTON’S」に入社しています。今はフライフィッシングを知ってもらうためのイベントなどの広報活動を、友梨さんも一緒に協力しながら、日夜励んでいます。
見ているだけで心が温まった、藏薗家の「家族の時間」は無事に終了しました。